こんなお気持ちになるツイートを目にする機会が立て続けに2件ありまして。まあ、RTで流れてくる普段接点のない方々ばかりなので、真偽のほどがどうとか言うつもりはないのですが、どちらも共通するのは貧乏臭い生き方だなあというお気持ちだったりします。
コンビニでトイレ借りたら偽善便所ガム野郎呼ばわりされた
コンビニで便所を借りた後、ガムを買って外に出ると後輩達が「今なんでガム買ったんすか?」「トイレ借りた礼のつもりすか?」「コンビニでバイトしてた時、そういう客迷惑だったんすよね」「黙って使って黙って出ろって」「偽善便所ガム野郎」「佐原先生の事じゃないすよ」ガムを持った手が震えたわ
— 佐原敏剛 (@saharabingo) January 24, 2018
なんでこれがツイッター上で驚かれたのかを整理すると
- 本来、トイレを利用されるというのはお店にとってコストである
- 本来、ガム(のような少額商品であっても)を購入されるというのはお店にとってベネフィットである
という暗黙の前提(常識)を無視したツイートだったから驚かれたのですね。しかしこれは後述する「誰にとって」を掘り下げていくとそのロジックは理解しやすくなります。
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同じ金払うならセルフでやるより人にやってもらった方が得
ツタヤで無人レジを誰も使わずに有人レジが行列になってると、なんでこいつら無人使わないんだろう、御老体ならまだわかるけど10~50代辺りが時間も惜しまずに並ぶ理由がわからん、って思ってたら「同じ金払うならセルフでやるより人にやってもらった方が得」という声を目にして絶句してしまった。
— とりにく (@whisky_cancan) January 27, 2018
こちらの損得勘定は前出のコンビニとは少し異なります。こちらもツイッター界隈での共通した暗黙の前提を整理すると
- 無人レジは、有人レジよりも早くレジを終わらせることが期待されている
- お店にとって単位時間あたりのレジ通過者が増える(単位時間あたりの売上が上がる)ことが期待されている
- 利用客にとって無人レジは早くレジを済ませて時間の有効利用ができることが期待されている
- 有人レジでも無人レジでも利用客が支払う現金の額に差はない
これだけの条件だけを見ても、無人レジの存在はお店にとっても利用客にとっても良いことだらけに見えます。勿論、無人レジの操作がわからない、あるいは操作方法を学習できない、学習しようとしない利用客の存在というのも充分にお店やレジ納入企業も理解していたはずです。所謂お年寄りですね。彼らは機械への恐怖心から、銀行や郵便局のATMを使わず、預金や引き出し、振込や記帳のために窓口に並びます。しかし、ここで驚かれているのは
- お年寄りに限らず10~50代辺りが時間も惜しまずに並ぶ
- 無人レジの操作がわからないわけではない
- 同じ金払うならセルフでやるより人にやってもらった方が得
という想像の斜め先の理由だからなのですね。これもコンビニの例と同様「誰にとって」得するのかについて掘り下げてみましょう。
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同じモノやサービスでも「誰にとって」お得なのかが異なる
コンビニのトイレの例ですと、お店にとっては黙ってトイレを借りられるよりガム1つでも買ってくれたほうが得、というのは皆当たり前に思っていたはずです。しかし店員は(世の中のコンビニ店員全員じゃないですけど)真逆の価値観でした。これを掘り下げると
- コンビニのオーナーや本部は、トイレ利用者がガム1つでも買ってくれれば「売上」にも「利益」にも繋がる
- 店員は、ガム1つのためにレジ接客をしようがしまいが時給は変わらないので面倒くさい(不利益)である
という{事実,解釈}です。もちろん、店員さんの時給の原資はガムだろうが高額商品だろうがレジを通過した売上がほぼ全てなので、ガム1つでも買ってくれたほうが良いはずなのですが、今回の例ではそうではありませんでした。
つまり、店員は自分のシフトの間がどれだけ大変だろうが楽だろうが、時給であることに変わりはなく、売上が上がったとしてもそこにインセンティブがないので、自分のシフトの間がつつがなく終わり、時給を貰うためのコストができるだけ下がって欲しいと願っていたのですね。
一方で無人レジがあるにもかかわらず有人レジに並ぶ利用客も、コンビニの例と同じロジックを当てはめると、支払う金額が同じなら、自分がお店にいる間、少しでも多くお店のリソースを使ってやりたいと願っていたのですね。あるいは、有人レジだと相手が人間である(融通がきく)という存在に暗黙のうちに期待していたのかも知れません。
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まとめ
本来、短時間のうちに最大の効率で利益をあげ、そのサイクルを短く多数繰り返して儲けるか余暇の時間を有意義に過ごすことで、よい景気が循環するはずなのですが、コンビニの例もツタヤの例もその真逆の価値観です。つまりこれ、「働いたっていいことないから拘束時間は少しでも面倒から逃げたい」「自分が支払うコストが同じなら少しでも相手にコストを支払わせたい」という意識がはたらいているので、ストレートな言い方をすれば貧乏臭い価値観だなあ、というお気持ちなのです。
なぜなら、こうした行為が彼らにとっても世間にとっても1円の得にもならないばかりか、単位時間あたりの生産性を下げて結果的に損失を生んでいるにもかかわらず、それをよしとしているところが貧乏臭い価値観だと思う所以でして。
なので、何かしらのサービスを提供する側もいずれこうした顧客の動向を意識しないと空振りばかりする世の中になってしまうのでしょうし、パフォーマンスの悪いメンバーのケアもこうした観点から考えないといけないのですかねぇ・・・今のところ彼らはマジョリティというよりもノイジーマイノリティ(であって欲しい)とは思うのですが・・・(とほほ)。
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