初めての裁判所 – 不払いクライアントに少額訴訟をおこしてみたよ – 2/2

初めての裁判所 – 不払いクライアントに少額訴訟をおこしてみたよ – 2/2
金払え

前回からの続きです。先日、ある人からの紹介で初めてのクライアントさんからWEBサーバー構築の作業を請け負い一撃構築したのですが、一部入金はあったもののその後連絡が取れず・・・。果たして少額訴訟はどうなるやら?

■ いざ裁判所へ (1) 訴状提出

少額訴訟の訴えを起こす裁判所(管轄裁判所)は原則として、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所です。前回も書きましたが、私のケースでは相手方も都内の会社だったので、東京簡易裁判所へ行くことに。東京簡易裁判所はデータセンター並に所持品検査を受けます。カバンはもちろんのこと、ポケットの中身も出して、です。

● 簡易裁判所、まずどこへ行く?

ロビーを見渡してもどこで受け付けるのかわからないので、訴状持って案内のおじさんに「少額訴訟したいんですがどうすればいいですか?」と聞くと、親切に教えてくれます。聞くと「簡裁民事手続案内」という部屋に行けとのこと。まずはこちらで訴状の様式が正しいか、証拠などが揃っているかのデバッグをしてくれます。

● 簡裁民事手続案内でのデバッグログ

簡裁民事手続案内では、受付のおじさんと一緒に訴状のデバッグをすることができます。あと、訴える先の人数も確認してくれて、そこから必要な切手と収入印紙の金額を教えてもらえます。ものすごく端折って書きますが、私の場合はざっとこんな感じでした。

訴状の様式チェック

訴状の様式チェックは、前回 [ref]https://nullpopopo.blogcube.info/2016/04/smallclaims-01.html[/ref] も書いた通り、売買代金の支払いを求める、という書き方ではなく請負代金の支払いを求めるものとしての訴状になりますねー、と言われました。しかも、訴状のフォーマットからして違ったらしく、その場でフルスクラッチ書き直しでした。とは言え、訴状へ入力するパラメータが変わるわけでもないので、その場であっさり転記できました。

日付のチェック

日付のチェックですが、そもそも手書きに型なんてないのでなんのこっちゃ、と思われるかも知れませんが、いわゆる遅延損害金の算出根拠日ですね。○月○日の翌日から起算して年n%の損害遅延金を支払え、というやつです。

遅延損害金の年利の算出根拠について指摘

損害遅延金の年利ですが、根拠とする法によって違います。商法を根拠とするのか、下請法を根拠とするのか、については請け負った契約内容によりけりなので、どちらが当てはまるのか判断できない、という方は素直に弁護士へ相談することをおすすめします。案内の張り紙にもありましたが、あくまで民事手続案内は書式のデバッグができる部屋であって、法律的な判断をするための窓口ではありません。が、法的根拠を確認するのに六法全書を取り出して一緒に見てくれるあたりは良い担当のおじさんであったと思っています。

あと、デバッグルーム簡裁民事手続案内の部屋は選挙の投票所のように仕切りがある机があり、そこで書き直すことができます。筆記用具は持参してもよいのですが、同じく投票所のように鉛筆と消しゴムが備え付けてありまして、おじさんには「最初からいきなりペンで書かないで鉛筆で書いてね」とも教えていただきました。あと、上で書いた証拠のコピーもですね。

● 訴状提出

訴状の提出ですが、訴状と添付書類を受付のお姉さんに渡して別室に案内され、その後、書記官さんが来て今後の流れの説明を受けて審理期日を決めます。「いつがいい?」「何日ならあいてます?」「じゃあn月n日で」くらいの感覚で決められました。つまり、相手方の都合は考慮しなくていいみたいです。


■ 審理の日までの過ごし方

今回の私のケースでは、弁護士をあえて立てずに訴訟をおこしたので、「異議あり!」の素振りを欠かしませんでした。イメージトレーニングは大事ですからね。

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裁判所のサイトから図を引用しますが、提出した訴状と証拠書類は、期日呼出状とともに裁判所から被告へ郵送されます。

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で、本来被告は答弁書と(被告側の)証拠書類を裁判所へ提出して、それが私のところへ送られてくるはずだったのですが、審理の日までこれらが私の手元に届くことはありませんでした。。。こうなると、裁判は不戦勝の予感がしますが、相手方(被告)はバックレる気満々なのだろうか…と不安になります。


■ ザ・審理

少額訴訟の場合、審理は原則1回で控訴はできないのですが、被告の希望や裁判官の判断で通常訴訟へ移行することもあります。そうなると面倒です。

訴状提出の日に書記官から「ここに来てね」と案内された法廷ですが、時間前になったら勝手に入ってよいようです。時間に遅れたら不戦敗になってしまうので、手荷物検査などのロスタイムも考慮して割とガチで早めの時間に行くことをおすすめします。入廷したら名前を書く用紙があるので、自分の名前を書きます。

自分が裁判を受ける法廷は早めの時間に入っても構わないので、前の試合を傍聴して暇つぶしすることもできます。ただ、いずれも少額訴訟の審理なので、ドラマチックな展開というのは期待できませんし、押尾学ファンのような裁判ウォッチャー的な楽しみ方には不向きかと。

んで、時間になって「 @nullpopopo さん、XXX XXXXXXXX株式会社さん、どうぞー」と呼ばれるのですが、この日も被告は来ず、少額訴訟デビュー戦は不戦勝という結果で、せっかく練習した「異議あり!」も発揮することなく終わりました。

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この日どんなこと言われるのだろうとノーパソ持って議事録取る気満々だったのですが、裁判官のおじさんからは訴状を読み上げられたあとに「はい、 @nullpopopo さんの言い分が100%通りました」的な判決を言い渡されておしまいです。この後どうすればよいか聞いたところ、判決が郵送されるので受け取ってください、それでおしまいです。とのことでした。つまり、私の訴えである売掛金回収とXXX XXXXXXXX株式会社への遅延損害金請求はお上のお墨付きがついて、口座差押えを裁判所に求める法的根拠が決定したわけです。わーい、めでたしめでたし!


■ 売掛金回収までの道のり

しかしこれ、私の訴えが法的に「お前は正しい」と認められただけであって、その後も被告のXXX XXXXXXXX株式会社がバックレ続けても実力で取り返す手段は口座の差し押さえくらいしかないんですよね。

というわけで審理が終わってからXXX XXXXXXXX株式会社の登記簿上の所在地にアポなしで行ってみたのですが、違う会社が入居してやがりまして。インターホンで聞いてみたらその会社はXXX XXXXXXXX株式会社とは全く関係ないとのこと。 (´・ω:;.:…

なので、事実上の本社(XXX XXXXXXXX株式会社 ほにゃらら支店)は都外なので、直接回収しに行くのかったるいなー・・・と暗雲立ち込めるマン。。。登記簿にはその支店の住所も書いてあったし代表者(社長)個人宅の住所も書いてあったのですが、いずれも都外なので、本気で回収に行くともうそれで赤字なんですよね。

結論ですが、XXX XXXXXXXX株式会社の社長は入院してたようで、それで一部入金後からずっと連絡が取れなかったとのことでした・・・。残金と一緒に少額訴訟で確定した遅延損害金と裁判にかかった実費を請求したら満額入金されたので、一応これで解決です。 [ref]裁判に至る前に、入金期限過ぎても音沙汰なかったことについて電話してみたら、社長が経理も担当してるので誰もわからない・・・というオチでした。個人事業主ならまだしも法人格でこれは脆弱なので、今後のお付き合いは無いかなー。。。[/ref]


■ 今回の事件から得た知見

売掛金回収!少額訴訟してみたよ。 | WP-D」にも書いてあるように、強制執行してもらうにも差押え対象の銀行口座(支店名と口座名)は自分で調べなきゃならないんですよね。挙句、口座にお金が入っていないともう空振りなんですよ。なので、今回の振り返りとしては

  1. はじめての取引先は、半額でも全額でも前金で払ってもらえるならそうしとけ。

  2. 証拠大事。それで取りっぱぐれがないとは言わんが、裁判には有利だ。

  3. 与信調査はやっとけ。人からの紹介だったら、その会社へ発注したことがあるか聞いとこう。最悪は紹介者から銀行口座を聞き出すことができるので。

ですかねー。大きな案件とかなら帝国データバンク東京商工リサーチとかにお金払って調べることもできますが、単発の案件ならそうもいかないケースもありますよね。いずれにしても、何らかの担保を取っておくことをおすすめします。

あー疲れた。

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