[読書感想文] OSCクロニクル 宮原徹 (著)
こんにちは。最近読書感想文ばっかりですね。オープンソースカンファレンス (以下OSC) 20周年ということで秀和システムさんから宮原さん本が出ました。
OSCの発起人である宮原徹が、OSCの歴史を振り返りながら、その理念を語るとともに、持続可能なコミュニティの運営方法を伝授する。帯の推薦文は、Rubyの開発者のまつもとゆきひろ氏が寄せている。
(Amazonより引用)
Kindleに配信されてすぐに一気読み。いわゆるハウツー本というよりも、かつて宮原さんがSoftware Designで連載されていたオープンソース放浪記のテイストで書かれている。ちなみに同連載の総集編は無料でPDFダウンロードできるので、振り返りがてら読んでみるといいかもですね。
さて本書の感想なんですけれども、全国各地でOSCを開くきっかけやその土地での印象、思い出などを交えての振り返りとか、そりゃあ楽しくないわけがないと思うと同時に、コロナで初めてオフライン開催を中止するに至った経緯とかオンライン開催の試行錯誤とか、テクニカルな観点というより「やってみて手応えこうだった」から得られた知見が嫌味なく書かれているのは、やはり宮原さんの人柄だなあ、と。
ちょっとここで私のOSC思い出話を。OSCが始まった頃はまだ私が戸越銀座に住んでいたか札幌に引っ越したあたりかな。このブログが2007年10月から始まっている(札幌在住時に自宅サーバーで始めた)ので、その頃には宮原さんの存在は一方的に存じていたのです。とはいえ、OSCの人というより「あすなろブログの人」としてですが。今ググってもあすなろブログって出てこないなあ。ということはあすなろブログを知ってる人は間違いなくインターネット老人だ。うん。
いわゆるUターン挫折して結局また2008年に東京に戻ってきたんだけど、2009年にUSP友の会に出会って2010/09/11 のOSC 2010 Tokyo/Fall に友の会でブース出展参加している!(黒歴史日記から発掘した) たぶんこれが私のOSC初参加だと思う。初めてOSC参加するのにいきなり出展メンバーだったんだー(懐)。本当、誘っていただいた鹿野さんには感謝しかないです。
ほんとね、当時の日記にも書いてたんだけど文化祭って雰囲気なんですよね。文化祭って基本的に”お客さん”がいないじゃないですか。みんな何かしらの当事者として参加している的な。いわゆる企業セミナーだったら主催者とお客さんみたいな関係性ですけど、そうじゃないイベントがあることにカルチャーショックというか、エモい言い方をするとなんかこう、許された感があるみたいな。
あと、OSCの懇親会まで参加されている方はご存知ネタなんですが、東京での開催ぶんでいうと、OSC本編が終わってそのまま明星大学の食堂で懇親会って流れで。たまにXのタイムラインでぶり返されるネタにありがちな「ただ飯おじさん」ってOSCで見たことないんですよ。確か一般参加者の参加費が1000円で学生が500円で。記憶と記録の突合したらやっぱりそうだった。
しかも、大抵誰かしらが全国から旅のお土産などの地酒を持ち込んでみんなで飲み比べしたりしますし、楽しくわいわいしてるもんだから、ひょっとしたらただ飯おじさんが紛れこんでいても気がつかないだけなのかも知れません。他の勉強会やイベントでは如何にただ飯おじさんを排除するかみたいな議論もあったりしましたけど、OSCに関していえば、よほど酔っ払って他の参加者に絡むとかしなければどうでもいいみたいに思ってるのかも知れませんね。あ、いたの?みたいに。
なので、生真面目に企業主体の”セミナー”をしなければと上司から圧がかかっている人や「コミュニティマーケティングとは~」みたいにイキる人にとっては刺さらないか、あるいは逆に人生の価値観が180度変わるきっかけになるのかも知れないですね。物ごとにはすべて「あるべき姿」「望ましい姿」というものがあるとして、それを他人に「こうあるべき」と押しつけるのではなく、「そうするのが自然だよね」と誰もが納得するやり方ができるのは、宮原さんが恐らく一番気を配っているところなんじゃないかなー、とは以前から思っていたのですが、それがしっかりと裏付けられているので、イベント主催をされている方やコミュニティマーケティングに携わっている方で、参加者との関係性に悩みを持っている方は、一読してみてはいかがでしょう。そして「なんじゃこりゃ?」と興味を持たれたら、是非全国のOSCやODCに参加してみてね!直近は2024年9月7日(土) 10:00-18:00 docomo R&D OPEN LAB ODAIBA(台場フロンティアビル 12F)で開催されます。
んじゃ!