フリーランスが50代になって正社員就職しようとも減収は避けられない話 を読んで
Facebookでこのまとめについて流れてきたので思うところを。
悪いこと言わない。今のままでいろ。
エンジニア職から{転職,独立,起業}の相談を持ちかけられたら今の私は開口一番こう言うでしょうし、余程のことがない限りこの前提は崩れないでしょう。せっかちさんのために、まず私が”意図していないこと”を羅列しておくからな。
- どうせ nullpopopo が貰えるパイを奪われたくないんでしょう?
- nullpopopo がどこかの会社に出戻りたいんでしょう?
- ワンチャン nullpopopo の会社にいい人来ないかなーとか思ってるんでしょう?
ちげーよ、全部的外れ。そもそも世の中の幸せの総量が増えようが減ろうが私にとってどうでもいいんですが、まあ、何かの間違いでこれ読んだ人が危うく人生踏み外すことを防ぐことができれば、それでいいんじゃね?と思って書いてるだけです。
まずですね、私いま48歳 いちおう会社の代表してますけれども、1人親方みたいなものですからフリーランスに毛が生えたようなもんです。もじゃもじゃですけど。ただまあ、やはり会社という看板があるのとないのとでは社会的信用ってやつはやっぱり違います。これはフリーランスと比較して、のお話です。
しかし、逆の見方もできるわけで、つまりどういうことかというと、小規模でも社員さんを抱えている会社さんであるとか、上場企業さんなんかと比べたら弊社なんて鼻息1つで飛ぶくらいチャチい存在である、とも言えるわけでして。なので、これらの企業と比べるのもおかしな話ですし、社員さんを抱える覚悟と器量という観点からも烏滸がましいわけです。
となると、自ずと今の私あるいは近未来の私が考えるべきことってこうなるわけです。
- 自分が手の届く範囲の顧客にどうベネフィットをもたらすことができるか
- 自分の今と今後の人生設計
まず、勝ち負けではないですが(そもそも{誰,何}と戦うんだ?)、勝利条件が現実的かどうかを見極めましょう。まだ世の中にないすんごいプロダクトを作ってバズっちゃって金もナオンもウハウハ(なんちゅー語彙力だ)狙いとか、まさか考えてませんよね?
OK。じゃあ現実的な勝利条件を想定できたとして、それ、転職なりFA宣言なり法人成りでないと実現できないか、を考えてみましょう。希望的観測じゃなくて直近1~2年の見通しでもできたら、私の皮膚感覚としては止める理由はあんまりありません。
でもね、でもですよ。あなたの本音、こうじゃありませんか?
現職での閉塞感
この閉塞感の正体が収入であれ環境であれ人であれ、そこから逃げたいんですよね?だから転職なりFA宣言なり法人成りなりしたいんですよね?いいんです、怒る気持ちはもっともです。かつての私もそうでしたから。けれども、これだけは忘れないでください。
逃げと高収入は両立しない
すまんな、現実突きつけちゃって。けれども、あなた自身のことではなくて、例えばあなたが誰かに転職相談を持ちかけられたときにどう答えるか、あるいは相談者が何と言って相談を持ち掛けてくるか、想像してみてください。
「俺、今の会社辛くて辞めたいんだけど、次の会社は高収入がいいと思うんだ。」
さあ、あなたは何て答えますか?「いいよねー、頑張んなよ」とか新橋のやっすい居酒屋あたりで飲みながら適当なこと言ってたりしませんか?いや別に新橋じゃなくても新宿でもどこでもいいんですけど。逆に、もし自分が相談持ちかける立場で、やっすい居酒屋に連れて行かれてこんなこと言われたら、そいつに大事な話しない方がいいです。愚痴聞きだけで終わるならそれでも構いませんが、その後の進捗についてしつこく聞いてきたりするような奴なら切ったほうがいいです。
仮に、接待でお呼ばれするようなお店に連れて来られて肯定的なリアクションをされたとしても、油断なりません。まず下心があると見てよいです。もしそこで「ウチ来る?」みたいな話になったとしたら、どこまで本気か時間をかけて見極める姿勢でいたほうがいいです。ちなみに、「時間をかけて」がポイントです。
もし相手が本気であなたのことをスカウトしたいなら、時間をかけて関係性を作ろうとしてくれるはずです。そうでなければ、チクチク言葉で申し訳ないのですが、転職エージェント使うよりも安くスカウトしたいという、そういうことなんです。
さて、前置きというか私のお気持ちが長くなってしまいましたが、フリーランスが50代になってからの人生設計の話をしましょう。何せ私もこれ書いてる時点でいよいよ真剣に考えなければいけないテーマがたまたま転がってきたようなものですからね。
最初に諦めなければいけないのが、若者のような「人生一発逆転」思考です。残された時間が限られており、若者のような瞬発力がないのですから、こればかりはどうしようもできません。俺は体力に自信あるぞと仰るご同輩諸先輩がたもいらっしゃるかとは思いますが、もう3徹とか平日帰宅できないとか続けられませんよね?
次に諦めなければいけないのが、手札を増やす戦略です。ちょうど進学や就職のタイミングでインターネットが勃興した時代に生まれ育った我ら世代は、いわゆる氷河期世代、あるいはその手前の世代です。学生時代にこの世の春を謳歌されたものの、いざ社会人になった途端に梯子外された世代とも言えましょう。1999年に世界滅べと真剣に願ったことも1度や2度ではないはずです。
しかし、我らの世代で唯一他の世代と違うアドバンテージがあります。それは、己の成長とインターネットの成長がタイミング的にシンクロしていたということなのです。これだけは本当に生まれたタイミングに感謝でしょう。何せ、これまで偉そうにしていたおっさんどもがパソコン使えずに右往左往している中、自発的な学習で自分は伸びていけたのですから。これは技術的な話だけではなく、いわゆる情報リテラシーという観点でもそうなのです。
また、ある程度情報リテラシーを身に着けた状態でSNSやスマホの登場を迎えたのですから、いわゆる「やらかしてしまう」世代は自分の上の世代か下の世代が多いのです。ちゃんと統計とったわけではなく皮膚感覚ですが。
さて、世の中AI時代になりました。猫も杓子もAIにお伺いをたてる景色を当たり前のように見るようになりました。世の中のインパクトとしては、AI以前 AI以後 みたいな切り口ができると思うのですけれども、ここで「AIを使わせる」側としてやっていけるなら、もうどっかから資金調達してマシンパワーで殴りながらAI長者(だから語彙力よ)になってください。
そうでないなら、フリーランスでも正社員でも、収入下がることも含めた出口戦略ってやつを考えなければなりません。この層には私も含まれるのですが。しかし、まだやりようというか、希望はあります。
- 固定客 ファンがいる
- AIに頼らない商売ができている
まあ、どちらも人との関係性ってやつですね。過去の私も含め、この人との関係性、人間関係 社会性ってやつが苦手で、職人気質”だけ”でやってきたつもりでしたが、これもう通用しなくなりました。
まず、職人気質だけがあなたの存在価値であれば、究極をいえば何かしらのプロダクトで世の中を変えるか、あるいはあなたの代わりがいくらでもいる、かの両極端の選択となります。そうでなければ、あなたの価値を重んじて仲間として大切にしてくれる人がいるかどうか、です。技術には明るくないが、自身の商売においてあなたの介在価値 個性をきちんと認めてくれる人がいるかどうか、ここにかかっています。
吾唯足知
これは龍安寺のつくばいに刻まれた言葉です。われただたるをしる、 私は満足していることだけを知っている、ということなのです。逆に、満足することを知らないと幸せではない、ということでもあるのです。
俺はこんなものではない、俺はまだまだやれる・・・こうした気持ちがポジティブであればよいのですが、ネガティブな状況から逃げたい一心で、果たして成功するといえるのでしょうか。
子どもの頃から、世の中は厳しい、と親や親戚のおっさんどもに言われて育ちましたが、あれ、嘘です。世の中厳しいんじゃなくて、理不尽なのです。厳しいというのは、愛や情がともないます。しかし、社会は学校や家庭の延長線ではありません。学校や家庭ですら満足な愛があるとは限りません。厳しいなんて生ぬるいもんじゃなく、理不尽なのです。そんな理不尽な世の中、すがって生きていこうとする人がいたら、それただのアホですよ。
天は二物を与えず
フリーランスを辞めたい、正社員に戻りたい・・・この正体と向き合いましょう。自分の手札を数えましょう。心の安寧、収入、どちらに重きをおきますか?描く未来は現実的ですか?夢は若いうちに見るものです。そういや昔こんな日記書きましたねえ、私。
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いやー、ネガティブの塊でしたねえ、私。
何者であるべきか、どうあるべきか、を示す人は山のようにいます。ですが、あなたのことを思って、あなたの幸せを心の底から願ってそう示す人はいますか?でもですね、希望は1つだけあります。こんなブログのようなこと言う物好きがいたら、その人は大切にすると、いいことあるかもですよ。
んじゃ。